佐藤さん(仮名・38歳)は、20年近く縮毛矯正をかけ続けてきたベテランユーザーです。しかし数年前から、髪全体のボリュームが減り、地肌が透けて見えることに深刻な悩みを抱えるようになりました。「若い頃は半年に一度で十分だったのに、最近は3ヶ月もすると髪がまとまらなくなる。ダメージもひどくて、まるで人形の髪のようでした」と彼女は振り返ります。薄毛の原因は、加齢だけでなく、長年の縮毛矯正の蓄積ダメージに違いない。そう考えた佐藤さんは、一度縮毛矯正をやめることも検討しました。しかし、彼女の強いくせ毛は、何もしなければ手に負えません。悩んだ末、彼女はこれまでの「安さと早さ」で選んでいた美容室通いをやめ、髪と真剣に向き合ってくれるサロンを探すことにしました。そこで出会ったのが、徹底したカウンセリングを重視する一人の美容師でした。美容師は佐藤さんの髪と頭皮の状態を丁寧に診断し、薄毛に見える原因が、抜け毛だけでなく、ダメージによる深刻な「切れ毛」にあることを指摘しました。特に、毎回毛先まで薬剤を塗布していたことが、ダメージを加速させていたのです。美容師は、佐藤さんに新しい縮毛矯正との付き合い方を提案しました。それは、施術は根元のリタッチのみに限定し、毛先には最高級のトリートメントを施すこと。そして、施術の頻度も3ヶ月から4ヶ月へと、少し間隔をあけることでした。さらに、自宅でのケアの重要性を説き、頭皮マッサージ機能のあるシャワーヘッドや、アミノ酸系のシャンプー、そしてアウトバストリートメントの使い方まで、細かく指導しました。最初は半信半疑だった佐藤さんですが、そのプランを信じて実行することに。すると、半年が過ぎる頃には、明らかな変化が現れました。根元から生えてくる髪はハリがあり、切れ毛が減ったことで、毛先のスカスカ感が改善されたのです。髪全体のまとまりも良くなり、スタイリングが格段に楽になりました。「縮毛矯正をやめるのではなく、やり方を変えるだけで、こんなに髪は変わるんだと感動しました。今は自分の髪に自信が持てます」。佐藤さんの事例は、縮毛矯正と薄毛の問題が、施術そのものではなく、その「付き合い方」にあることを教えてくれる貴重なケーススタディと言えるでしょう。