「高校生で薄毛になるなんて、あり得ない」そう思われるかもしれませんが、近年、若年層の薄毛の悩みで皮膚科を受診するケースは決して少なくありません。多感な時期に髪の問題を抱えることは、ご本人にとって非常につらいことです。まず知っていただきたいのは、高校生の薄毛の多くは、成人男性に見られる遺伝的な男性型脱毛症(AGA)とは原因が異なる場合が多く、適切な対処によって改善する可能性が高いということです。では、なぜ高校生で薄毛が起こるのでしょうか。最も大きな要因の一つとして挙げられるのが「生活習慣の乱れ」です。スマートフォンやゲームに夢中での夜更かし、それに伴う睡眠不足は、髪の成長に不可欠な成長ホルモンの分泌を妨げます。また、友人との付き合いで増えがちなファストフードやスナック菓子中心の食生活は、髪の主成分であるタンパク質や、その合成を助ける亜鉛、ビタミンといった栄養素の不足を招きます。過度なダイエットも同様に、髪に栄養が届かなくなる深刻な原因となります。次に考えられるのが「ストレス」です。大学受験のプレッシャー、友人関係の悩み、部活動での過度な緊張など、高校生活には様々なストレスがつきものです。過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、頭皮の血行不良を引き起こします。血行が悪くなると、毛根に十分な栄養や酸素が供給されず、髪が細くなったり、抜けやすくなったりするのです。また、自分で髪を抜いてしまう抜毛症や、自己免疫疾患である円形脱毛症も、ストレスが引き金となることがあります。さらに、間違った「ヘアケア」も原因となり得ます。洗浄力の強すぎるシャンプーで頭皮を傷つけたり、スタイリング剤をしっかり洗い流さなかったりすることで頭皮環境が悪化し、抜け毛につながるケースです。これらの原因は一つだけでなく、複数が複雑に絡み合っていることがほとんどです。まずはご自身の生活を振り返り、思い当たる原因を一つずつ解消していくことが、改善への第一歩となります。
高校生の薄毛はなぜ起きる?専門家が語る原因