長年サロンワークに携わっていると、お客様から「縮毛矯正で髪が薄くなりませんか」というご質問を本当によくいただきます。多くの方が抱えるその不安、私たち美容師も真摯に受け止めています。まず知っていただきたいのは、腕の良い美容師は、お客様の髪と頭皮を「守る」ことを最優先に考えているという点です。縮毛矯正は確かに髪に負担をかける技術ですが、そのリスクを最小限に抑えるための知識とテクニックがあります。薄毛のリスクを避けたいと考えるお客様に私たちがまずお伝えするのは、施術前のカウンセリングの重要性です。現在の髪のダメージレベル、頭皮の状態、過去の施術履歴などを詳しくお伺いし、最適な薬剤と施術プランを立てます。特に頭皮が敏感な方や、髪の細さが気になる方には、保護オイルやクリームを使って薬剤が直接頭皮に触れないよう、細心の注意を払って施術を進めます。根元を数ミリあけて薬剤を塗布する「ゼロテク」と呼ばれる技術も、頭皮への負担を軽減する有効な手段です。また、薬剤の選定も極めて重要です。最近は、化粧品登録のカーリング剤など、従来の医薬部外品である縮毛矯正剤に比べて格段にダメージを抑えた製品も増えています。髪質やダメージ度合いに合わせて、最も負担の少ない薬剤を使い分けるのがプロの仕事です。そして、意外と見落とされがちなのが施術の頻度です。髪全体の縮毛矯正は、一度かけたら基本的には新しく生えてきた根元の部分だけをリタッチするのが理想です。毎回毛先まで薬剤を塗布すると、ダメージが過剰に蓄積し、切れ毛やパサつき、ひいてはボリュームダウンにつながってしまいます。お客様ご自身も、無理な頻度での施術は避け、美容師と相談しながら最適な周期を見つけることが大切です。縮毛矯正は、美容師との信頼関係の上になりたつ技術です。安心して任せられるパートナーを見つけ、適切な施術を受けることが、薄毛の不安なく美しい髪を保つための最良の方法と言えるでしょう。
美容師が語る薄毛を避ける縮毛矯正の受け方