地肌が透けて見える頭頂部、枕にびっしりついた抜け毛。高校生の僕にとって、それは死活問題だった。ワックスで必死に隠しても、風が吹けば一巻の終わり。鏡に映る自分を見るたびに、自信も何もかも失っていく気がした。でも、僕は諦めたくなかった。絶対に治してやると心に決め、専門書やネットの信頼できる情報を読み漁り、生活のすべてを見直した。そして約一年後、僕の髪は確実に戻ってきた。僕が薄毛を治すために実践し、効果があったと感じる五つのことを紹介したい。一つ目は「睡眠時間の確保」だ。それまでの僕は、深夜までスマホをいじり、平均睡眠時間は五時間ほど。これを、どんなに遅くとも夜十時半にはベッドに入り、七時間以上眠るように徹底した。髪は夜、寝ている間に作られる。この基本を、僕は完全に侮っていた。二つ目は「食事内容の革命」だ。コンビニのパンやカップ麺で済ませていた昼食を、親に頼んで弁当に変えてもらった。内容は、髪の材料となるタンパク質(鶏肉や卵)、亜鉛(チーズやナッツ)、ビタミン豊富な緑黄色野菜をリクエストした。おやつはスナック菓子から、素焼きのアーモンドやヨーグルトに変えた。三つ目は「シャンプー方法の変更」だ。ゴシゴシと力任せに洗っていたのをやめ、アミノ酸系の優しいシャンプーを使い、指の腹で頭皮をマッサージするように洗うことを心がけた。すすぎにも時間をかけ、ドライヤーは頭皮から離して優しく乾かした。四つ目は「適度な運動の習慣化」だ。運動不足は血行不良を招くと知り、毎日三キロのランニングを日課にした。汗をかくことでストレス発散にもなり、心身ともに健康的になった気がする。そして五つ目は「気にしすぎない勇気」だ。これが一番難しかったかもしれない。毎日鏡でチェックするのをやめ、「やるべきことはやっている」と自分に言い聞かせた。ストレスは薄毛の大敵。意識を髪から逸らすことも、立派な治療の一つだった。この五つは特別なことじゃない。でも、これを続けることで、僕は失いかけた高校生活と自信を取り戻すことができたんだ。